去年の毎日新聞記事、さて今は…
特別支援教育の導入は、盲・ろう・養護学校のあり方にも変化をもたらした。盲・ろう・養護学校は一本化され、「特別支援学校」に名称を原則、変更。中には高齢者らとの交流で地域福祉の拠点を目指す学校も現れている。【遠藤哲也】
◇重複障害増加、複数種別に対応
◇多様な子が「育ちあい」/取り組み、各地でばらつき
養護学校はこれまで、肢体不自由▽知的障害▽病弱−−の3種類に分かれていた。特別支援教育の特徴の一つは、特定の障害のみを受け入れる方式から、設置者の地方自治体が、地域の子どもの実情に応じて複数の障害に対応できるように変えたことだ。背景には、子どもの障害の重度・重複化が顕著になっていることがある。
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京都市上京区の西陣地区にある市立北総合支援学校。2月初旬の朝、小・中・高等部の約180人がスクールバスや徒歩で登校してきた。車椅子を利用する子や知的障害、視覚障害のある子などさまざまだ。げた箱で上靴に履き替えた車椅子の女児に、「一人で履けたの。すごいね」。女性教諭が、女児の目の高さまでかがんで声を掛けた。
04年春に開校した同校は、07年の特別支援教育完全実施を先取りする形で、障害種別の枠を超えた支援に乗り出している。明るい雰囲気の5階建て校舎。開放的な造りで、保護者がいつでも見学できる。
小学部の教室では、ダウン症や自閉症の子と並んで車椅子の女児がパズルを使って学習していた。「障害別に固定されたカリキュラムは、養護学校側の都合だったのではないか。子どもたちはいろいろな友だちがいる中で育ち合いができる」と奥田信一校長(56)は話す。
同校のもう一つの大きな特徴は地域に開かれた学校づくりだ。廃校になった元小学校跡を活用したことから、開校準備当初から地元住民が協力。校舎には、自治会や高齢者デイサービスセンターも入り、中学部と高等部の生徒たちは地元の女性会などから茶道とフラワーアレンジメントを教わっている。ボランティアで指導している穴瀬初栄さん(73)は「孫のように感じて、ここに来るのが楽しみ」と語る。
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こうして積極的に取り組む支援学校がある一方で、保護者の目に「看板が変わっただけ」と映る学校もある。西日本の別の特別支援学校に息子(11)を通わせている母親(41)は「子どもに対して特に良くなったとは感じない」と打ち明ける。
また、全国の支援学校が直面しているのが児童・生徒数の急増だ。96年度に盲・ろう・養護学校の在学者は8万6000人だったのが、10年後の06年度には10万4000人を超えた。原因の一つは、軽度発達障害のある子の保護者が手厚い教育を求めて支援学校を志向しているからでは、と専門家は見ている。
特別支援学校の実情に詳しい大阪大谷大教育福祉学部の小田浩伸准教授は「支援学校の大きな役割は、地域支援」と強調する。「地域の普通学校で学ぶ障害のある子にどんな支援ができるのか、もっと積極的に具体的なメニューを提示していくべきだ。その子を支えるために、医療・福祉・労働など各機関とのネットワーク作りの中核を担ってほしい」と指摘している。
毎日新聞 2008年3月5日
あれからまた一年、名前が変わってからどう変わったのだろうか?
実施して二年が終わろうとしている現状はいかに。
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